小資金での開業を実現するためのノウハウを公開…三井ホームの「医院開業実践ゼミナール」より 前編 『中古医療機器の導入』
開業を目指すドクターを対象に、各界で活躍する専門家を迎え、開業に必要なノウハウを提供する「医院開業実践ゼミナール」。第4回のテーマは「小資金での開業」。文字通り、開業までの各ステップで、「いかに経費を圧縮するか」をテーマに、これまでのセミナーの中でも「実用的なノウハウ」が惜しげもなく披露される回となった。
第1部は医療機器販売に実績のあるエム・キャスト株式会社 医療事業部 東日本販売ユニット マネジャー 高橋治彦氏による「中古医療機器の導入」と題した実践的なレクチャー。開業時の機器導入において、中古機器を対象とすることのメリットやその際の具体的事例、アドバイスが注目された。
数百万円のコストカットも可能

エム・キャスト株式会社
医療事業部 東日本販売ユニット マネジャー
高橋治彦氏
高橋氏が最初に提示したのは、診療科別の医療機器の概算購入額の一覧。科によって異なるが、最高で数千万単位と、開業費全体の大きな割合を占める医療機器の選定に、中古医療機器を選択肢に加えることで、大きなコストダウンが狙えると述べた。モデルとして、消化器内科の購入資金圧縮例の表を公開。新品を調達した場合に、特に高額になる機器をピンポイントで中古機器に差し替えた場合、1,000万円近くの費用圧縮が図れると例示してみせた。「もちろん開業にかかる費用は機器導入だけではなく、土地建物、人件費などさまざまあるが、中古機器の導入は比較的簡単にできるコスト削減策の1つだ」とし、選定の際に指針となりうるポイントを次のようにまとめた。
医療機器購入のポイント
- 開業当初は高額な機器を導入しない
- 中古医療機器を組み合わせる
- 診療報酬の低い検査は要検討
高額な機器については、勤務していた病院と同等のものを求めず、開業する「自分のクリニックに合った仕様」を考えることが大切として、「主たる診察・検査に使う機器は最新型、他は中古に」、「使用頻度の少ないオプションやグレードについてよく検討し、本体価格そのものが高いCT等は導入自体を見直す」などをあげた。さらに新品でも中古でも取得できる診療報酬は変わらない点をあげ、診療報酬が低い検査に使用する機器を新品で揃える必要性についても十分に検討する必要があるとした。これらを念頭に置きつつ、全体の10~20%を中古機器にすればそれだけで数百万円のコスト削減が可能であると訴えた。
ベンダー、コンサルタントの選定は慎重に
次に、購入時によくあるケーススタディとして失敗事例をいくつか紹介した。
医療機器購入時の失敗事例
- メーカー希望小売価格と販売価格の差に気づいていなかった
- スペックを確認せずにベンダー担当者に任せ、必要以上のスペックの機器を購入した
- ランニングコストを確認していなかった
- コンサルタントと契約したが、レベニューシェアの契約だったことに気づいていなかった
- 法に基づいた販売を行うベンダーから買わなかった
実態として、医療機器は希望小売価格と販売価格との乖離が激しくなっている。例えば希望小売価格4,000万円のエコー機器は、市場では300万円程度で販売されていることもあるという。希望小売価格からあまりにも差があるので、それを利用して、ベンダーによっては上記機器を「定価から8割引」として800万円で価格提示することもあるようだ。事情が分からない向きからすればその価格でも格安に見えてしまうが、実際の相場からすれば逆で、高く売りつけられてしまったというわけだ。 このように実勢価格や機器のスペック、販売条件などを自ら確認せず、ベンダーのすすめられるままに購入を決めてしまうと、必要以上にハイスペックのものを買ってしまっていたり、月々の保守費用が莫大であったことに気づかなかったりという事態が発生する。開業時にいろいろとサポートしてくれるコンサルタントについても、契約時の条件をよく確認しないと、思わぬ費用が発生することにもなる。開業時は行うことが多岐にわたり“ヌケモレ”を無くすことは難しいが、こういったことは後で気づいても契約変更できないことがほとんどなので、特に留意するべきだとした。 最後に中古機器販売に関しては、販売時にベンダーがメーカーへ告知を行い、適切な整備点検を受けたものを納入するよう薬事法で定められていることを説明。実はこの手続きを経ずに販売するベンダーがままあると指摘し、そのようなベンダーから購入してしまうと、故障時の保守を受けられない可能性があると注意喚起した。なかなか見えない販売の実態にまで説明する内容に、出席者のメモを取る手が止まない、熱気のこもる第1部となった。
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